学校といっても、公立や私立で全く異なりますが、
あくまでも一般的な話をしますと、
ご存知のように学校教育は文部科学省の指導要項に従って学習が進められています。
そのために、特に公立の学校では、
「英会話」に力をいれようとカリキュラムを組むにしても、
その指導要項から極端に外れることはできません。
また、点数絶対主義の「受験」という制度が存在する限り、
公私立の学校とも、進学をまず第一に考えた英語教育をせざるをえません。
つまり、どんなに教育心が強く、熱い教師がいようと、
今の英語カリキュラムに不満があったとしても、
それを一新することは不可能に近いと言えます。
先日、元小学校の教師からこの件について色々とお話を聞きましたが、
公務員としての教師は、与えられたものを上手く活用することはしても、
新しい画期的なシステムを導入したり、
学習法を一新することはまずないでしょうとおっしゃっていました。
つまり、リスクを取ることを極力避けるのが常識となっているようです。
この点を踏まえて、学校の英語学習法の現状についてお話しますと、
具体的には、リーディングとライティングをメインとして、
プラスアルファでリスニングをするといったような配分のところが
多いのが実情のようです。
当然、ALTなどを定期的に呼んで、
ネイティブと触れ合うというようなことや、
音声を流して、リスニング問題を解くというような学習はやっていますが、
リスニングを中心とした建設的なトレーニングは行っていません。
問題なのは、ご存知のように、
英会話というものが「リスニング」と「スピーキング」で構成されていることです。
そのため、リーディングとライティングではなく、
「リスニング」と「スピーキング」に力を入れなければ、
英会話ができるようにはならないのですが、
実際にはほとんどが未だ有効的な音声学習を行えていません。
そもそも、言語習得の第一に取り組むべきことはリスニングで、
言語は全て、音声の認識からスタートします。
そして、聞いた音をマネすることで、
スピーキングは自然と身についていきます。
その繰り返しが、五感と結びつき、
「音声」と「状況」が少しずつ、規則性となって頭で整理されてくるのです。
それが、そもそもの母語の学習過程ですが、
私たちは英語を習い始めるころには、
既に日本語で十分な会話ができるレベルに
到達している場合が多いため、脳は母語をベースに動き、
外国語は母語とのリンクとして結びついていきます。
このことをきちんと理解している教師が非常に少ないのが残念ですが、
それが分かっていれば、
音声を十分に使って、
英語から日本語、日本語から英語という流れの学習を多く取り入れることで、
英会話は自然とできるようになっていきます。
その最先端の理論を学会でも非常に高く評価されているのが、
池田和弘氏(http://kazuhiroikeda.com)です。
結論をいうと、
今のままでは何年たっても学校で英会話ができるようにはなりません。
それは、コミュニケーション重視と叫ばれ、
学校も工夫していると主張するここ10年以上の間で、
学生がほとんど英会話をできるようになっていないことを見れば一目瞭然です。
もしあなたが英会話ができるようになりたいのであれば、
積極的に音声学習を心掛けてください。