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「毎日、たった5分で英会話がペラペラになる!」
「たったの数ヵ月で映画を字幕なしで聞けるようになる!」
「簡単に~」、「楽に~」、「◯分だけで~」、「~するだけ」、
英語教材の宣伝で、そのような文句を見たことはありませんか?

いや、「それ以外の宣伝文句を見たことがありますか?」
という質問の方が正しいかもしれません。

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英語教材の宣伝では、このような文言が当たり前のように使われています。

しかし、本当にそれらは真実なのでしょうか?
もし、そうだとすると、これだけ素晴らしい教材が世の中に溢れているのに、
英語が上達しない、英会話を話せるようにならない人が
なぜこんなにも多いのでしょうか?

私たちも英会話教材を開発し、販売しているため、
その責任は非常に重く感じています。

だからこそ、
真実を伝えたいと思います!

まず、一つ目の真実ですが、
「ほとんどの英会話教材の広告には裏付け(理論)がない!」のです。

全ての教材に理論がなく、広告が嘘だとは言いません。

しかし、
言語学者や英語教育の関係者のほとんどは、
広告の文言とその効果に首をかしげます。

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そして、教材によっては、
広告やCMなどで独自の理論を唱えているところもありますが、
研究として実証された結果から、
公に発表された(研究結果が世間に認められた)「理論」はほとんどありません。

たとえば、赤ちゃんが日本語を身につけるプロセスを考えてみて下さい。
まずはじめは、毎日何時間もただ「聞く」ことに徹し、
早くても1年以上たって、ようやく、ひとこと、ふたことが口から出てきます。

つまり、言語をゼロから覚えるプロセスは「聞く」つまりインプットから始まり、
そのインプットがある程度になって初めてアウトプットされるようになるのです。

そして、日本語を既に話せる日本人が英語を覚えるときも
似たようなプロセスが必要です。

今までに聞いたことのない音を捉え、それを意味のある言葉として認識し、
はじめて「理解する」(リスニングする)ことができるのです。

ところが、日本語を話せる人と、赤ちゃんとは決定的に異なる点があります。
それは、赤ちゃんはゼロから言葉を覚えるのに対して、
日本語を話せる人は既に一つの言語をある程度習得しているということです。

つまり、前者は既に日本語脳が出来上がっていて、
そこからもう一つの言語(英語)を身につけようとするため、
赤ちゃんと学習のプロセスが同じはずはありません。

例えば、石を赤ちゃんがstoneだと覚えるとき、
見て、触って、時には口に入れたり、投げたりして、
5感をフルに使って、石とはこういうものだ、これをstoneというのだと
覚えていきます。

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それに対して、日本語を話せる子供や大人たちは、
5感を使って「石」という概念を既に母語と結びつけて身につけているのです。
そのため、どこかで石を見ると、大体の重さや固さを瞬時に判断できます。

このように、言葉をゼロから覚える時には、
日本語で覚えようが、英語で覚えようが、
同じ学習プロセスをたどるのですが、
前述したように既に日本語が話せる人にとっては、
日本語脳が出来上がってしまっているため、
赤ちゃんがゼロから英語を覚えるプロセスで学んでも、
英語を身につけることは非常に困難なのです。

それでは、どうすれば良いのでしょうか?

日本人にとって、最も効果的な英語学習法は、
既に言葉の概念を身につけている「日本語」をベースに、
日本語脳に英語を強く結び付けていくことで、
限りなくネイティブに近づく仮想の英語脳を
作り上げていくことです。

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そのため、話を始めに戻しますが、
日本語が身についている人のための英語教材の宣伝文句として、
「赤ちゃんのように」とか「赤ちゃんが言葉を覚えるように」学べる、身につく
という表現が使われているとしたら(意外に多くの教材でそういっていますが)、
それは、ほとんどの場合、学術的には真実ではなく、
商品を売るためのマーケティングの一環として使用している言葉だということです。

さらにひどくなると、あたかも独自理論のように宣伝していますが、
それは正しい「理論」ではなく、あくまでも、
販売側の「意見」でしかないということを覚えておいてください。

二つ目の真実は、「英語は簡単には身に付かない!」ということです。

多くの教材は、「簡単に」や「たったの◯分で」、「◯ヵ月で」と
習得の容易さや速さをアピールしています。

前述したように、
日本語を既に知っている人の効果的な英語学習法は赤ちゃんの学習法とは異なりますので、
使う教材によっては、大人なら短い期間で、効率的に身につくのではないか
と思われるかもしれません。

しかし、「英語を身につける」ということに関しては、
大人も赤ちゃんと同じくらい何度も音を聞き、練習しなければ、
一朝一夕では身に付きません。

しかも、赤ちゃんは、耳が良く、頭の柔軟性と吸収力は最高レベルです。
そのような状態にもかかわらず、音を認識するために何度も何度も繰り返し聞きます。
少しずつ、音をマネていき、徐々に自分のものにしていきます。
ずば抜けた吸収力の赤ちゃんですらそうなのに、
大人が少し英語を聞いたからといって、
そんなに簡単に英会話ができるようになるはずがありません。

ネイティブの音をはっきりと聞き取れるスピードで何度も聞いて、
しっかり真似ることができるようになるまで練習することで、
少しずつ、自分のものになっていくのです。

このように、英語を身につけていくことは、時間のかかることなのです。

ただし、ある程度のレベルに達すると、習得能力は一気に加速します。
それは、基礎ができてしまうと、応用が効くからです。

そのため、現在の自分の英語力を知ることが、
「教材を探す」うえで、非常に重要になるのです。

英語教材は、学習者の英語レベルによって、向き不向きがあり、
基礎が出来てしまっている人は、多聴することで、リスニング力が上がるかもしれませんが、
初心者や初級レベルの人は、まず基礎的な表現を適切な方法で、
少しずつしっかりと覚えていかなければなりません。

ちょっとした会話なら話せると思っている人も、
意外と基礎ができていないことが多く、
そこをないがしろにしてしまうと、
一定レベルから学習効率が非常に悪くなってしまいますので、
十分に気を付けてください。

宣伝文句の中で、時々、
「毎日5分だけ、英語に触れてください」というような文言を見ることがあります。
そういう文があったら、少し注意深く説明を読んでみてください。

もし、「毎日5分だけしか英語に触れなくても良い」と言っているのであったら、
それは効果的な教材ではありません。
気休めにはなるかもしれませんが、英語力はほとんどつかないでしょう。

しかし、「毎日5分だけでも、英語に触れてください」と言っているのであれば、
それは間違いではありません。
5分という時間はあくまでも最低限(時にはゼロの日があっても問題ありませんが)なのです。
調子の良い日は20分でも30分でも学習してください、ときちんと説明しているか、
そこが非常に重要なポイントになります。
なぜなら、たくさん英語に触れるほど、英語力が上がるというのは、
既に実証されている事実なのですから。

三つ目の真実は、「初心者にとっては、音声は確実に聞き取れて、
真似のできるスピードでなければならない」ということです。

早い音声スピードに慣れようと何度聞いても、
もし、その音を確実につかめない(正確にマネができない)のでしたら、
リスニング力もスピーキング力もほとんどつかないでしょう。

速い音のあとに遅い音が聞こえやすくなるのは、脳の錯覚です。
高速道路を数時間100キロで走ったあとに、公道に出るとどう感じるでしょうか?
60キロの走行がノロノロ運転に感じてしまいますよね。
これも同じ現象です。

また、野球の素人が、150キロのスピードボールを何度も見るとします。
そのうち目はスピードに慣れてきますが、
はたして、ホームランを打つことはできるでしょうか?

batting


容易に想像できるように、ホームランを打つために必要なトレーニングは、
スピードに目を慣らすだけではありません。

必要なのは、確実にバットの芯でボールを捉えることで、
まずは、それが出来そうなスピードで、何度も打つ練習をし、
ホームランの確率を高めていくことが必要です。

そして慣れてくると、少しずつ、ボールのスピードを上げて行き、
確実に芯でボールを捉えることに集中し続けていくと、
そのうちに150キロのボールも芯でとらえることが出来るようになります。
これこそが、ホームランを打つための効率的な練習法なのです。

これは、英語学習も同じです。
耳で確実に音を捉えることが出来なければ、
脳が意味を認識できないのです。
まずは、ゆっくりの音を確実に捉えることが大切で、
その後、少しずつ音のスピードを速めて行けば、
どんなに速い音でも耳が対応し、脳も認識できるようになるのです。

このように、既存の多くの英語教材では、広告で真実を述べていません。
教材を売るために必要な文言を並べ、
消費者の心を揺さぶるのです。

時には、あたかも真実のように、そして、確固たる理論のように。

ひとつの商品が魅力的なキャッチやフレーズで成功すると、
他の企業も追従するため、
ほとんどの広告で同じようなフレーズが見受けられるようになります。

そのため、どの英語教材の広告を見ても、
あまり大きな差を感じられず、甲乙がつけられないのです。

学習者にとって、これほど迷惑なことはありません。

最終的に、どの英語教材を選ぶかは学習者のあなた次第です。
ただ、大切なお金と時間が無駄にならないように、
よく真実を見極めて、納得いくうえで教材をお選びください。

少しでも多くの方が英会話をできるようになることを
一開発者として心から願っています。

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